2006.04.27.(THU)

Aiichiro Kohno

ミクロ経済学

『利得表におけるゲーム理論』

 

1 語句や基本概念に対する整理

 

@ dominant strategy(支配戦略)<p.51の第2パラグラフ冒頭>

 

・・・他のプレイヤーによって選ばれる戦略に関係なく、あるプレイヤーにとって最適な選択

 

A prisoners dilemma(囚人のジレンマ)<p.51の第4パラグラフ冒頭>

 

・・・相互に利益が得られるときでさえ、なぜ協調を維持することが困難であるかを例示する、2人の囚人間の特定の「ゲーム」。

 

B dominaed strategy<p.51の第6パラグラフ冒頭>

 

・・・他のプレイヤーによって選ばれる戦略に関係なく、あるプレイヤーにとって選択する可能性がない選択。

 

C ゲームの分析において・・・<p.53の    >

 

・・・各プレイヤーが単に合理的であるということだけではなく、各プレイヤーがその他のプレイヤーが合理的であると互いに信じあっているということも、重要である。

 

D Nash equilibrium(ナッシュ均衡)<p.54の    >

 

・・・相手の戦略を所与としたとき、自分の利得を最大にするような選択(最適反応)を各プレイヤーが互いに行い、均衡している状態。(つまり、相手がbest response戦略を取っているときに、自分もbest response,している状態。)

 

 

<ナッシュ均衡の定義>

 

プレイヤーAとBが存在し、各プレイヤーの戦略を、及び各プレイヤーの利得関数をプレイヤーA、Bそれぞれとしたとき、

 

 

上式があらゆるにおいて、成立する戦略の組み合わせをナッシュ均衡という。

以下のmatrixの分析では、上の前提で話を進める。

 

 

2 標準型ゲーム:matrix(利得表)による分析

 

【例題1/The Prisoners Dilemma Game】 Figure 4.1 <p.50>

 

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

[Step1] Player1dominant strategyを求める

 

        Case1

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

= 5, =6 であり、

よって、Player1を選択することが、合理的といえる。・・・@

 

        Case2

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

= 3, =4 であり、

よって、Player1を選択することが、合理的といえる。・・・A

 

@、Aより、Player1は、Player2がどのような選択をしようとも、を選択する。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

 

dominated strategy

dominant strategy

 

よって、Player1dominant strategyは、といえる。・・・B

 

 

[Step2] 同様に、Player2dominant strategyを求める

 

        Case1

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

= 5, =6 であり、

よって、Player2はを選択することが、合理的といえる。・・・C

 

 

 

 

        Case2

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

= 3, =4 であり、

よって、Player1を選択することが、合理的といえる。・・・D

 

C、Dより、Player2は、Player1がどのような選択をしようとも、を選択する。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

      dominated strategy      dominant strategy

よって、Player2dominant strategyは、といえる。・・・E

 

よって、B、Eより、が選択される。とすれば、

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(5,5)

(3,6)

B

(6,3)

(4,4)

 

あらゆるにおいて、

が成立するので、がナッシュ均衡といえる。

 

 

 

【例題2/Iterated Elimination Of Dominated Strategies】 Figure 4.2 <p.52>

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(1,1)

(2,0)

(1,1)

M

(0,0)

(0,1)

(0,0)

B

(2,1)

(1,0)

(2,2)

[Player1] のそれぞれのときの、Player1の利得を比較して、Player1best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(1,1)

(2,0)

(1,1)

M

(0,0)

(0,1)

(0,0)

B

(2,1)

(1,0)

(2,2)

よって、, , 

Player1best responseとなる。・・・@

 

[Player2] のそれぞれのときの、Player2の利得を比較して、Player2best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(1,1)

(2,0)

(1,1)

M

(0,0)

(0,1)

(0,0)

B

(2,1)

(1,0)

(2,2)

よって、, , 

Player2best responseとなる。・・・A

@、Aより、とすれば、あらゆるにおいて、

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(1,1)

(2,0)

(1,1)

M

(0,0)

(0,1)

(0,0)

B

(2,1)

(1,0)

(2,2)

が成立する。

よって、ナッシュ均衡はである。

 

【例題3/Dubious Application Of Dominated Strategy】 Figure 4.3 <p.53>

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,0)

(1,1)

B

(-100,0)

(2,1)

 

[Player1] のそれぞれのときの、Player1の利得を比較して、Player1best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,0)

(1,1)

B

(-100,0)

(2,1)

 

よって、, Player1best responseとなる。・・・@

 

[Player2] のそれぞれのときの、Player2の利得を比較して、Player2best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,0)

(1,1)

B

(-100,0)

(2,1)

 dominant strategy   

よって、, Player2best responseとなる。・・・A

 

@、Aより、とすれば、あらゆるにおいて、

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,0)

(1,1)

B

(-100,0)

(2,1)

が成立する。

よって、ナッシュ均衡はである。

 

【例題4/Nash Equilibrium】 Figure 4.4 <p.53>

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(2,1)

(2,2)

(0,1)

M

(1,1)

(1,1)

(1,1)

B

(0,1)

(0,0)

(2,2)

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(2,1)

(2,2)

(0,1)

M

(1,1)

(1,1)

(1,1)

B

(0,1)

(0,0)

(2,2)

 [Player1] のそれぞれのときの、Player1の利得を比較して、Player1best responseを調べる。

 

 

dominated strategy

 

 

よって、, , 

Player1best responseとなる。・・・@

 

[Player2] のそれぞれのときの、Player2の利得を比較して、Player2best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(2,1)

(2,2)

(0,1)

M

(1,1)

(1,1)

(1,1)

B

(0,1)

(0,0)

(2,2)

よって、, , 

Player2best responseとなる。・・・A

@、Aより、とすれば、あらゆるにおいて、

 

 

Player2

 

Strategy

L

C

R

Player1

T

(2,1)

(2,2)

(0,1)

M

(1,1)

(1,1)

(1,1)

B

(0,1)

(0,0)

(2,2)

が成立する。

よって、ナッシュ均衡はである。

 

【例題5/Multiple Nash Equilibria】 Figure 4.5 <p.54>

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,2)

(0,0)

B

(0,0)

(2,1)

 

[Player1] のそれぞれのときの、Player1の利得を比較して、Player1best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,2)

(0,0)

B

(0,0)

(2,1)

 

よって、, Player1best responseとなる。・・・@

 

[Player2] のそれぞれのときの、Player2の利得を比較して、Player2best responseを調べる。

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,2)

(0,0)

B

(0,0)

(2,1)

よって、, Player2best responseとなる。・・・A

 

@、Aより、とすれば、あらゆるにおいて、

 

 

Player2

 

Strategy

L

R

Player1

T

(1,2)

(0,0)

B

(0,0)

(2,1)

が成立する。

よって、ナッシュ均衡はである。