2006.06.01.(THU)

Aiichiro Kohno

 

〜6月1日 国際貿易と経済学

BERTRAND VERSUS COURNOT

(ベルトラン均衡とクールノー均衡の比較/IO-7.4.)

 

1 本項の要旨

 

本項では、いずれのモデルがより現実的かを考察した。現実においてどちらのモデルが使われるかは、産業ごとのとある特性によって決まる。

テキスト ボックス: If capacity and output can be easily adjusted, then the Bertrand model is a better approximation of duopoly competition. If, by contrast, output and capacity are difficult to adjust then the Cournot model is a good approximation of duopoly competition.

【要約】
CapacityとOutputが容易に調節(変化)できる場合⇒ ベルトラン・モデル
CapacityとOutputが容易に調節(変化)できない場合⇒ クールノー・モデル

 

【追加】

 前項では、ベルトラン・モデルのように、InputとOutputが変化できる場合には、ライバル企業の価格は一定であるという仮定による均衡の導出が行われ、クールノー・モデルでは、相手のライバル企業の生産量が一定であるという前提で均衡が求められた。

 

 

2 分析と解説

 

●クールノー・モデルについて

 

(1)           市場価格はどうなるか

 

独占価格よりは低いが、完全競争価格よりは高い。

 

【証明】

 

110ページにおける数式を用いると、

 

<仮定>

需要関数;

費用関数;と考える)

市場流通量;

 

これらを使って、独占価格を求めると、単一企業が生産する。

 

企業はとなる量を設定するので、

  

需要関数より市場価格は、

∴ 独占価格;

完全競争時の価格は、と同様である。

 

では、クールノー均衡における価格はどうなるか。

111ページより、  このとき、

需要関数より市場価格は、

∴ クールノー均衡価格;

は明らかなので、  

よって、クールノー均衡価格が、独占価格よりは低いが、完全競争価格よりは高いということは明らかである。

 

(2)           どのような産業において適当か?

 

・・・FCが著しく高く、いったん資本財が投入されると、VCが大した割合にならないような産業ではクールノー・モデルで分析される。容易にFCを追加投入できないので、生産能力を容易に変化することは出来ない。

 

例;小麦、セメント、鋼、車とコンピュータ(ハード面)など

 

※ 産出量が設定されるのは、価格の設定の後である。

 

【具体例】 ゲーム業界(ハード面) ソニー VS 任天堂

 

19998

 

ソニーは129ドルから99ドルまでの値下げを発表

 

→たった1時間後、任天堂もソニーと同様な価格に値下げを発表

 

→夏休みということもあって、需要促進

 

→任天堂はひどい需要不足により苦しむ

 

結論;価格が量より、調節するのが簡単である。

 

●ベルトラン・モデルについて

 

(1)           市場価格はどうなるか

 

左図より、商品差別化が図られないならば、完全競争市場と同様、価格競争により、MCまで価格が低下する。

 

(2)           どのような産業において適当か?

 

・・・FCが大した割合にならないような産業ではベルトラン・モデルで分析される。産出量は容易に変化できる。

 

例;ソフトウェア、保険と銀行業務など

 

※ 価格が設定されるのは、産出量の設定の後である。

 

【具体例】 ソフトウェア産業(百科辞書) ブリタニカ VS エンカルタ

 

・・・ソフトウェア会社は、コピーを簡単に生産することができる。すなわち、追加生産によって瞬時の生産量調節が可能。

 

百科事典ブリタニカは、2世紀以上の間、32巻から構成され、1600ドル(独占価格)で販売される。

 

1990年代初期

 

マイクロソフトは、コンピューターソフトである百科辞書エンカルタを率いて市場に参入し、大量生産。なんと100ドルで販売される。

 

→ブリタニカもソフト化100ドル未満で販売し、生産増加

 

→現在ではともに89.99ドル(MCであるディスク価格にはまだ遠い)