6月1日現代資本主義システム「食品ロス」について

 

0) 今回のテーマにおける内容の再確認

 

@   「食品ロス」とは、食料が、生産から食卓に至るまでに無駄に捨てられてしまうことである。

A   各先進国の状況として、

a)アメリカ合衆国では、食品ロスの割合が全食料の内の4割〜5割であり、全損失額は約11兆円にも上る。

b)イギリスでは、家庭の食料のうち2割が手付かずで捨てられるという無駄買いである。これは年間で英国民一人当たり8万円にも上る。

c)日本では、年間で約11兆円分の食べ残しがある。特に日本食での割合が目立つ。

B   発展途上国での飢餓の状況を踏まえ、日頃から食べ物の大切さをしっかり考えていくべきである。

 

 

1) 「食品ロス」の問題性の検討

 

 発展途上国では日々の食べ物にも困り、毎日多くの子供たちが飢餓で死んでゆく。それに対して、先進国では食べ過ぎによりダイエット食品が流行し、莫大な「食品ロス」が発生する。非常に対極の激しい状況である。そこで、我々は、この「食品ロス」の問題をどのように位置づけるべきなのであろうか。

 まず、「食品ロス」をもったいないというものだとして、この分の食料を発展途上国に持っていくことはほぼ無理であろう。現地に届くまでに腐敗するだけであり、第一、安価な食材の場合は、その費用よりも、現地しかも治安の悪い場所に届けるまでの輸送費の方が高くかかるのは明らかである。高級食材の場合は、途上国の飢餓に苦しむ人々自体が必要としていないので、これも供給しようとするのは無駄なことである。

 では、「食品ロス」で浮いたお金を途上国への援助に使うのはどうであろうか。レストランやコンビニ、スーパーなどの企業でも莫大な量の「食品ロス」が発生しているが、彼らもバカではないので、むやみやたらに「食品ロス」を出している訳ではない。当然、利潤の最大化を目指す企業にとっては、その「食品ロス」を出していることが自分たちにとって有益、すなわちお金になるからである。そこで、「食品ロス」を無理やりでもなくしてしまったらどうなるのであろうか。お金が浮くどころか、「食品ロス」が生み出していた利益の分の利潤が減るだけだ。つまり、「食品ロス」の解消によって、直接、余剰食料やその代金を途上国に送り、飢餓に苦しむ人々を救うということは不可能なのである。これらの人々への救済は、「食品ロス」とは別次元の問題と考えて対処していかなくてはならない。唯一関連させるとすれば、我々の日々の生活において、飢餓に苦しむ人々の存在を想起し、自分自身の倫理との駆け引きの中で「食品ロス」に向き合って倹約していくことぐらいであろう。

 

 

2) 「食品ロス」と食料自給率との関係

 

 では、「食品ロス」の解消よって生み出される利点とは何か。家計においては、倹約により余剰したお金を別のものに使えることがあろうが、国家レベルにおいては、食料自給率の改善につながる。そもそも日本は、食糧が足りないということで莫大な量の食べ物を輸入し自給率は約4割(熱量換算)ほどしかないのだが、現実問題として、「食品ロス」が発生しているぐらいなのだから食べ物自体は余っている。すなわち、「食品ロス」を減らせば、国内全体で必要とされる食料の総数も減少し輸入も少なくてすみ、国内でまかなう食料の割合を示す食料自給率は上昇するはずである。

 他の先進国の場合、日本の約4割の自給率に対し、ドイツ・イギリス・アメリカおよびフランスでは、それぞれ112%・120%・151%および228%を誇り、高い食料安全保障政策を堅持している。この欧米を見ても分かるように、面積が日本くらいの小さい国でも高い自給率をあげていることが分かる。21世紀では、国際紛争や異常気象などによる食料危機の発生が危惧されている。食料自給率の向上の観点からも、「食品ロス」の解消は必要であると言えるのである。